愛憎劣情入り混じりながらも純度を増して前進していく、こんなに自由で強かでファンタスティックな物語があること、その幸福に勇気づけられています。ページを読み進めるたび楽しくて、それがうれしくて画面の前で笑顔になり、ページが減っていくことにとても寂しくもなりました。

最初から最後まで二階堂という人の半生と真心に思いを馳せずにいられなかったのですが、彼を明かしきらないこの小説のセクシーさに心底ときめく一方で、好きな人の名を一岡さん、姫宮さん、と丁寧に呼んでしまうようなところに彼のすべてが垣間見える気もする、うっかりそんな気にさせてもらってしまったりする、思えば思うほどやっぱりセクシーな小説で、読んでいるあいだずっとドキドキしました。杏里とともにハラハラもしたし、ワクワクもしました。

この物語と出会えたことに、これからも元気づけられていくのだろうと思います。前進と停滞を繰り返しては終わらない終末、私もそこに生きていたいです。かけがえのない出会いをくださり、本当にありがとうございました!