さとみなおき

美しい人生
とても美しい物語です。


嵐の海のように困難の多い人生にあって、遠くに輝く光を見失わずに、美しく正しく生きていこうとする、矢楚と広香。


お互いを思いやり、高めあう、理想の恋愛がここにあります。


二人の主人公はもちろんのこと、彼らを取り巻く人々にもそれぞれの人生があり、皆がその複雑さに耐えながら生きている。



時に道に迷いながらも、導きの星を探して、見つけて、それに向かって歩き続けて。



この長い道のりにあって、それができる者だけが人生を美しくすることができるのだと、この物語は教えてくれています。



テーマ、ストーリーが魅力的であるのはもちろんのこと、文章、構成という技巧面においても感嘆させられます。


倒置と比喩を多用した詩のように美しい文章の中に、幼い彼らの真っ直ぐな言葉が貴重な原石のように置かれて、読むひとの胸を打つ。



名作です。



多くの方々に読まれる作品になることを、願ってやみません。