白昼夢

少年の心の闇を照らしたのは少女の微笑み
殺し屋として生きることを決意した少年。
彼の目的はただ一つ、母親を殺した犯人への復讐。
人を殺めるため、人間であることを諦め、人形だと自分自身に言い聞かせる、主人公翔の悲痛な叫びは、読者の心をも締め付ける。

以降は、主観的な感想です、お許しを。

設定は面白く、好みです。
ただ全体的に、作者さまの引いたレールの上を、登場人物が忠実に歩んでいる、そんな違和感を抱かずにはいられませんでした。
人は、その生い立ち、経験が、その人の言動全てに影響します。
主人公だけでなく、作品内では語られないような、他の登場人物の過去をも確立させると、キャラが自我を持ち、生き生きと動くと思います。

驚愕の真実が次々と押し寄せるクライマックスは、惹きこまれました。
ですが、読後も疑問点が多く、もやもやが残りました。
何故、優秀な殺し屋であったはずの鈴城が、簡単に尾行されたのか。
呆気なく翔に殺されてしまったのか。
晴香の両親が殺された理由、などなど。

真の強さとは何か。
翔が過去と向き合い、その答えを導き出すところまでを見届けたかった。
私の我侭です、すみません。