序章――――――
東の空が赤く燃える。
希望の勇者は馬の嘶きとともに目を覚ました。
向かいで眠る神子が目を覚まさないよう立ち上がる。
朝の空気は清々しく、息苦しさを微塵も感じさせなかった。
――――時代は「希望の時代」かつての「始まりの時代」は滅びた。
「始まりの時代」で生き残った者は今の時代にもいるだろう。
その時の恐怖を思い出し語る者
その時の恐怖を思い出し1人震える者
様々な人がいるだろう。しかしそんな今の「希望の時代」も滅ぼそうとしている。
――――勇者が1人思いをはせていると、後方で小さな声がした
神子が起きたようだ。
「おはようございます!」
と神子は元気にあいさつをした。
勇者も小さく「おはよう」と返した。
神子は満足そうに微笑んだ。
「準備をしろ。そろそろ行く。」
と勇者が無愛想に言った。
さあ、長い一日が始まる。