人の愛し方を知らない冷酷な人間、コウ。愛することを怖がる少女、ユラ。二人が生み出す愛とは…?

―――それは、雨の降る夜だった。


男たちは、煌びやかな街を歩いていた。


男はある店の前で立ち止まった。


そこには、白い綺麗な髪をした少女が倒れていた。

少女は、綺麗な着物を着ていた。

幼い顔に似合わず、綺麗に化粧をしていた。

雨が彼女の着物を汚していく。

綺麗な髪も灰色に汚れていく。


彼は自身の傘に少女をいれた。

後ろから、商人の怒号が聞こえる。

街の男たちの声も聞こえる。


「殺せ」


男は短く、吐き捨てるようにそう言った。


「はーい」

「承知」

若い男と、老年の男がそう言い、刀をさやから出した。


その日の雨は赤色に変わった。


―――これが彼らの出会い。