大量虐殺…某国が圧倒的に有利な戦争…殺人…暴行…レイプ…恐喝…幼児虐待…虐待…拉致…拉致監禁…


大きな悲しみから身近な悲しみまで、考え付く物を指折り数えながら、少年は面白みの無い授業時間を潰していた。

空は今にも雨が降り出しそうに厚く、黒みの強い灰色の雲に覆われていた。

「最高の天気だ。」

少年が満足そうに窓の外に広がる昼夜の区別がつかなくなりそうな空を見上げていると、鴉の群が学校のグランドの一点に集まり何かをつつき喚いているのに気が付いた。

「後…10分で今日も終わりか。」少年の日々は平凡だった…少年の“心”を除いての話だが…。

鴉が何をつついているのかまるで気にはならなかったのだが、一斉に飛び立つ鴉一団が少年の座る窓際の席に、襲い掛かるかのように近付き飛び去って行った為、目を向けずにはいられなかった。