海の中の人魚姫

作者日向深青

「……人って不便だね」「人魚の方がいい?」「人でいい……人がいい」記憶をなくた少女が、再び前を向いて歩き出すまでの物語です。恋愛要素も微量ですがあります。


「私は、ただ……この海に帰りたいと、  


             そう思っただけ」



「覚えといて、人魚姫。      


   俺はあんたのことを傷付けることはしない」



「立ち止まってもいいんだ。


   逃げたっていいんだよ。


      いつか、受け入れる強さを


          得ることができる日までは」




記憶をなくした少女は、海に帰ることを願う。


すべてを拒絶し、すべてを忘却したまま……。





自殺願望を胸に抱いた少女が、


周囲の人々の優しさに触れ、


もう一度歩き出すまでの物語です。