ある日、中学の時の同級生から手紙をもらった雄二は4年ぶりに東京から森ノ淵村に帰ってきた。


『最後の日、君との約束を守れなかった俺をどんな顔をして迎えてくれるだろうか?

 そして君も約束を守ってくれなかった。

 俺は忘れたくないこの心に残る大切な何かを……』


 初めて聴く蝉時雨は儚かった。こんなにも楽しそうに歌っているのに。

 暑い日差しを背に受け俺の方に振り返る。その長い髪はゆらりとなびき、眩しそうな目で彼女は俺に言った。


『全てお話します。あの時のこと、私がどうしていたか、貴方への……』


 大きく息を吸い込みゆっくりと俺の知らない過去を連ねていく。


 夏の日に……どうかこの世から全ての暴力がなくなりますように。


 この物語には暴力シーンが含まれています。心臓の弱い方、苦手な方は無理して読まないで下さい。


 姫村ポンコツnaoki