嘘の中でしか生きられない。
嘘の中で、男に抱かれ女を抱いた。
ぬくもりも匂いも感じない、偽りに満ちた世界の中で。
でも、それで十分。
現実には、誰かとの距離は煩わしさを伴うから。
眠れない夜を数えたら、死ぬ前に抱きしめてくれたらいいな。
愛なんていらない。
その体温を貸してほしい。
信じられるのは、目に見えるものと触れるものだけ。
不確かさは、いらない。
もう恋なんてしないとか言うつもりないけどさ。
今は面倒くさいよ。
だって、私は嘘の中で純粋な愛を理想どおり描けるから。