ストーリー・オブ・ライ

作者瀬名千鶴

嘘の中でしか生きられない。

嘘の中で、男に抱かれ女を抱いた。


ぬくもりも匂いも感じない、偽りに満ちた世界の中で。




でも、それで十分。



現実には、誰かとの距離は煩わしさを伴うから。


眠れない夜を数えたら、死ぬ前に抱きしめてくれたらいいな。





愛なんていらない。


その体温を貸してほしい。




信じられるのは、目に見えるものと触れるものだけ。




不確かさは、いらない。




もう恋なんてしないとか言うつもりないけどさ。

今は面倒くさいよ。




だって、私は嘘の中で純粋な愛を理想どおり描けるから。