昔から欲しいモノは
簡単に手に入った。
学年で一番の成績。
県体での優勝旗。
先生からの厚い信頼。
金や物だって。
欲しいと望めば
いくらだって手に入る。
だんだんそれが
当たり前になって
感覚が麻痺してきて
手に入れられないものなんて
この世に存在しないんじゃないかって
そう、思うようになった。
けど、一つだけ
手に入らないモノができた。
どうすれば
手に入るんだろう。
願えば、願うほど
遠ざかっていく。
想えば想うほど
報われない。
辺りを見渡せば
誰もいないセカイ。
いつの間にか
独りになっていた俺。
哀しい風だけが俺を包んだ―――。