乾口民

優しく色付くダークな世界
序盤から終盤まで、優しく、切なく続く語りべは、昔幼い頃に読んだ昔話や、小学校の図書館で読み耽った物語たちを思い返させる。
 
話は夢際で揺れ動く少年・ケンタの話。
おかあさんの胎内を蝕む闇色の悪魔に立ち向かうという、何処かメルヘンで、且つダークな世界観が感じ取れる。
あとがきを除いてたった15頁の短篇作品で、読者に対して、「生」や「死」、「愛」を直接的に投げかけてくることに読後に考えさせられる。
 
 
自分のおかあさんが悪魔に殺られそうになった時―――、あなたは助けるかい?私は命を捨て去る事になろうとも、迷わず助けるよ。