こんな男と出会ったことがある。
その男は日本人で中国の上海に駐在していたサラリーマンであった。夜は接待で忙しく、昼間から夜の接待の準備で忙しい。毎日、毎日接待が続き、やがて夜の帝王となっていった。使う金はすべてが接待用である。夜の女たちを顧客にあてがい、そして自らも女に溺れていった。
やがて男には愛人ができた。愛人の女は上海に出稼ぎに来ているタイ人だった。しかし男にはまた別の愛人がいた。上海の小さなビルの屋根裏に地方から出てきた家族六人といっしょに住む貧しい女だった。その家族は女が稼いでくる金で生活をしていた。