NOEL

穏やな時間での純愛
桜は、幼い頃に少年と交わした約束を胸に家を出て、そこで2人は再会を果たす。

けれどそれは、身分を偽った身での再会だった…──。

そんな、ハラハラするような冒頭でしたが、読んでみると

穏やかに流れる時間の中で繰り広げられる純愛、と感じられました。


想いが強いからこそ身を引き、互いを想う気持ちが大きいからこそ、再び惹かれあった。

そんなピュアで切ない恋物語に、社会的身分の壁が突き刺さるという、壮大な恋愛に感動しました。


ただ、歴史物としては、日本語の表現が甘いかと。

「~しちゃいけない」→「~してはならぬ(ない)」など、少し言い回しに気を付けたら、

より雰囲気が出て素晴らしい作品となると思います。


…物語のクライマックスでは、桜を思う父の優しさがにじみ出ており、ラストにふさわしい温かな感情が伝わってきました。

愛娘を思いやる父、妹を大切にする兄上。
純愛と同時に沢山の家族愛を感じ取れた作品でした。


今後の執筆活動を応援しています。