偽りの世界で

作者神名紗月


気づけば


偽りの影の中に居た


嫌われたくなかった


必要とされたかった


居場所が欲しかった


独りになりたくなかった


私の場所に私はいなくて


いつの間にか


出来上がった私が居た


優しくて明るくて人気者


優秀で信頼されていて


とっても良い子


皆の中に居るのは


私じゃない


影の中に居たい訳じゃない


私の場所が欲しかっただけ


私を見て欲しい


私を知られるのが怖い


私を認めて欲しい


私を拒絶されるのが怖い


矛盾した気持ちが


希望と絶望を呼ぶ


臆病な気持ちが


私を隠していく


後戻りできない


光を探しても


見つけられない


涙することもできない