これが吉澤憙津の詩。心底の闇の叫びを詞(ことば)に変換し、虚空に奏でる叙情詩。吉澤憙津の詩の本質がそこにあるのかも知れない。
僕の抜け殻が
ポトリと落ちて
今年もまた
秋が来た
空を飛ぶための羽も
美しい声も
敵を殺すための
棘も毒も
何ももたずに
僕という生命体に
課せられた
使命はもはやない
何故生まれ堕ちたのか
そんな偶然も必然も
何もわからないまま
僕は秋を生きる
風が冷たくなって
霜柱が立つ頃
凍てついた地表で
僕は影のように怯えて
やがて
消えてゆく
無意味という
意味を道連れに