小泉秋歩
被験体のネズミは何故鳴くか?
異常な研究のため、脳に特殊な改造を施された2人の少年。
「容易に人を殺せる人間」として処置された、伊織。
「決して人を殺せない人間」として処置された、真澄。
孤児院で育った2人は、実験の対価として研究者・桐生に引き取られ、兄弟として15歳の今日まで生き続けている。
朗らかで誰にも愛される真澄は元気に学校に通っているが、伊織は自らの殺人衝動を恐れて自室に引きこもっている。
伊織には真澄だけが頼りだった、でも真澄は――?
少しずつ歯車がかみ合わなくなって行く2人の前に、第3の弟、赤矢が現れる。
彼もまた「容易に人を殺せる人間」であるというのだが――?
ダークなミステリー・サスペンス。
非人間的な実験を受けながらも、必死で「人間らしく」生きようともがく3人の少年の姿を描いています。
ミステリーとしては、赤矢の正体が判明するあたりから格段に面白くなっていきます。
ラストで明かされる真相も衝撃的。最後まで気が抜けません。
個人的な意見を言えば、私は作品の世界観にのめりこんで一気に読むタイプの読者なので、各章ごとに入る後書きが少しうるさかったかな…と感じました。