現実に起きた、流浪の騎士団ワイルドギースとユダヤ宝石カルテルの話です。完全オリジナル、オランダ、イギリス古文書より調査。

 「何者だ?」

 「我が姓はシャムロック、名はパトリシア。」

 「肉屋の小娘が何を言う!」

 「理由あって今は自警団の一員をしているが、

  カヴァネスに育てられた貴族の娘、

  腕には覚えがある、この者の代わりに勝負しろ。」

 「この路地裏でその大きな帯剣で何が出来る?

  兵法も知らぬ肉屋め!」

 「サーヴェルが向いている事くらいは知っている。」

 「一刀目で両断するからだ。」

 「何?一刀目を棄てて、短剣で切り上げるとは!」

 「半身に構え、腰を落とせば、大剣でもたちあえる。

  鞘走りを学ぶべきだったな。」

 「一騎討ちで負けたんだ。一旦引こう。」

 「だが覚えておけ、そいつは泥棒なんだ。

  貴族から物を盗めばどうなるかくらい解っていたはずだ。」


 「酷い怪我だな、医者の家まで送ってやろう、

  金銭面での期待はされても困るがな。」