夏木立 真直
平凡こそ最愛であれ。
新撰組――旗にかける、強き想い。
その生き様は儚く。本来ならば、それ故に美談として描き続けられる男達の物語。
だが、しかし。
この物語は違う。
気が弱い馬詰柳太郎は、愛する人と共に生きる、と。
死こそ誉れと駆け抜けた新撰組の中では、
あってはいけない事なのかも知れない。
それでも。
愛する人と共に生きる。
それは天秤では計れない、強き想いなのではないだろうか。
「私は確かにそこに幸せを見た」
これこそが、彼の人生だろう。
この一言で、こんなにも美しく世界は輝き出すのだ。
ふわり、と芽を出した愛に胸が温かくなりました。
他の新撰組を題材にした作品とは違う。
こんな平和を待っていました。
平凡こそ最愛であれ。