ここは九州北部、山奥の盆地にあるさびれた温泉村の千泉村。私はその村に二つしかない旅館の一つ「思泉」の一人娘、温美。冴えないこの村に嫌気がさしつつも、いつものように誕生日を迎えた冬。退屈なはずの14歳の始まりが、忘れられない大切な物語の始まりでもあった。