「それだけ?」
そう言わないと、
リョウは私を抱きしめてくれない。
―『それは、愛しき』―
―そして、哀しき物語―
けしてカッコいいわけではない
サッカー部のリョウ[林田 涼]と、
淡々とリョウを見守る
マネージャーの私[佐野 春香]。
目まぐるしく回る世界の中で
時間がそこだけ止まって見えたのは、
たった、一瞬だった。
ねぇ、リョウ。
落ちるグラスを握りしめた
その手は
もう、
私の手を握ってはくれないの?
平凡な世界で生き、
平凡な日常に飲まれる二人を
平凡な波が襲いかかって沈めていく。
―あぁ―
―『それは、愛しき』―