きみのために

作者ゆか







―月やあらぬ


  春や昔の春ならぬ


   わが身ひとつはもとの身にして―






月はあの時の月ではないのだろうか


 春はあの時の春ではないのだろうか


  私だけが以前のままの自分で   








(―在原業平)