英月

よかった。その一言に尽きる。
淡々とした語り口調で進む前半、自分では気付かなかったのですが、すでにこの小説の中に入りこんでいました。

そして、いろんなことが紐解かれてつながっていく後半、あまりの用意周到さに脱帽しました。
前半に積み重ねたいろんな仕掛けが、次々に種明かしされていくんです。
しっかりとした構成に、息を飲みました。

自分というものを見出すのが大きなテーマなのですが、登場人物もみな魅力的。
そこにピアノと歌というアクセサリーが重なって、さらに素敵にストーリーが進んでいきます。
主人公が自分自身と向き合った時、初めていろんなことが見えてくる。
それがよく伝わってくるお話でした。