垣谷俊一(かきたにしゅんいち)は生まれつき頭の中に不具合を抱えており、
他人の顔を認識する事ができない上、のっぺらぼうに見えていた。
それゆえに他人の心情を計り知れず、その機微に気付く事もできず、
人間関係を築く事も困難な日々を過ごしていた。
小学校卒業の日、俊一はある少女と一瞬の邂逅を果たす。
そして彼女の心情を計れぬまま、思った通りの言葉を吐いてしまうものの、
数年後に再会した時、二人の間に決してほどけない絆が生まれていった――。
愛する人の顔すら見る事ができない少年と、
少年に見つけてもらう為に、ある目標を掲げる少女との
切なくて儚い純愛小説。
※当作品は、実在している難病をモチーフに描かれていますが、
懸命に闘病されている方々への配慮から、病名の表記は伏せております。