「今は無理かな」
「ごめん」
新着メッセージが2件。
彼の返信をみたわたしの気持ちは、晴れやかだった。
朝の町田駅の雑踏の間に、澄みきった風が通り過ぎたような。
マスクの下で、思わず微笑んでしまうような。
なぜそんな気持ちになるのかが、今のわたしにはわかっている。
わかっているから、大丈夫。
鏡の中の自分を見つめる眼が、少しだけ優しくなれたような気がした。
大学進学を機に京都で一人暮らしを始めた「わたし」。
2年越しの彼からの連絡をきっかけに気持ちが揺れた22歳が、本当の自分を見つけるまでを描いた、ひとつの記録。