100年に1度の魔王復活に向けてヴェルリッチ王国では勇者の選定が行われることになった。
勇者に選ばれるのは聖剣を抜くことが出来た者のみ。
選定が行われる前日の深夜、聖剣の間に忍び込む一つの影があった。
おもむろに聖剣を抜こうとするが勇者でない為抜けず、腹いせ交じりに聖剣を殴ると聖剣アスリアがあまりの痛さに声を上げた。
何者かと問う聖剣アスリアに男は何故か上から目線でグレンだと名乗る。
意思疎通が出来ると分かったグレンはこともあろうに聖剣アスリアを手に入れるため脅迫、まんまと翌日の選定の儀で勇者と認められる。
王の御前で使命と仲間の紹介を受けるが、王様にも上から目線のグレンにその場が凍り付く。
そして勇者として真っ先にグレンがやったことは、仲間に仇名を付ける事。
失礼極まりない仇名を付けられた仲間達は憤慨するが、グレンはどこ吹く風。なぜこんな奴を勇者に選んだのかと恨まれる聖剣アスリア。
不安げな王に見送られ、揉めながらも魔王討伐の旅に出発。
しかし、勇者グレンの本領発揮はここからだった。
立ち寄った村で女性を追い掛け回し、好きなだけ食べ、酒を煽る。支払いは全部仲間持ち。
貴族様なら金はあるだろと好き放題。
そこにやってくる魔王軍。
それは協定に基づいて魔王から派遣されたそれなりの魔族を筆頭にした集団であった。
村人を救うため戦闘態勢に入る仲間達とは対照的に爆睡中の勇者。仲間の呼び声にもまったく反応無し。
破壊される村、傷付いてもなお戦おうとする仲間達。
勇者を確認する任務を負っていた魔王軍の団長は、勇者は何をしているのかと問うが、爆睡しているとは言えず口ごもる仲間達。
もう駄目だと誰もが思ったその時、戦闘で倒壊した建物の中から勇者が目覚める。
怒り心頭な勇者は軍を率いていた魔王軍の団長に聖剣を思いっきり投げつけた。
その怒りは傷付いた仲間を目にしたからではなく、睡眠を邪魔されたからだった。
使い方が雑だと悲鳴を上げる聖剣アスリア。
それをなんなく躱した時には、すでに勇者の拳が眼前にあった。
団長が倒され撤退をする魔王軍。
勇者は自分の機嫌を損ねたことに対して仲間達に説教を始め、それに怒ったエルインが勇者に魔法で雷を落とす。
勇者グレン曰く「魔王を倒して来いと言われたが、村を助けろとは言われてない」らしい。
魔王以外はどうでもいいと思っている勇者の旅はどうなっていくのか。