小さなカーテンを右に寄せると、ガラスの向こうに黄金の瀑布が広がっていた。
機体は日付変更線を超えて睡魔の王国を横断する。
眼の高さに街明かりはない。ただ、キラキラと不規則な稜線が月に照らされる。
夜空を染めるグラデーション。黄土色からエメラルドグリーン。寒色かと思いきや、目が覚めるほど鮮やかなピンク。
残像がいそがしく増殖して視界が痛い。
「ブランケットをもう一枚?」
やさしい気遣いが長旅を癒してくれる。
「いや、ウオッカをくれ。氷はいらない」
タイミングよく、グラスが差し出される。
人が何に幸せを感じるのか、彼女は地母神より心得ている。
「ありがとう」
自然なやりとりが敗者復活の種火になるかと言えば、神のみぞ知る、だ。
ドラマ
- #ドラゴン
- #ファンタジー
- #魔法と科学
- #騎士団
- #陰謀
- #メカ
- #政略結婚