物語全体のあらすじ
吉良光翼(きらこうすけ)は、宮城県にある総合私立大学「青葉国際文化大学」(通称:
青国大)に入学したばかりの1年生。
子供の頃から大好きな歴史の勉強しようと文学部歴史研究科を選んだ。だが、1~2年生
が履修できるのは一般教養科目ばかり。
運動音痴で人と関わることの苦手な光翼は、サークルに入ることもないまま、恋人はおろ
か友達すらつくることができず、家と大学を往復するつまらない毎日を送っていた。
大学入学から半月が過ぎた4月中旬、光翼は、大学生協へ向かう桜並木の通路で一人の女
子学生から「大学祭の実行委員募集の説明会開催」のビラを手渡される。普段なら生協入
口の屑籠にすぐ捨てるだけの宣伝ビラ。なのに光翼には桜舞い散る中でビラを配っていた
女子学生の笑顔と、ビラに描かれた過去の大学祭の様子を紹介する写真が妙に頭から離れ
ない。
「せっかく大学に入ったのだから、4年間の大学生活で何かこれだってのをやり遂げたい
なあ」
人見知りな光翼は、散々迷いながらも心の底から湧きおこる好奇心と、あの女子学生への
ほのかな関心から、勇気を出して説明会の会場へ向かう。それが光翼の4年間の大学生活
に大きな影響を与えるとも知らず。
光翼が所属することになった大学祭実行委員会(通称:学祭実委)は、1~4年生まで数
十人が所属する大所帯の学生会活動団体であった。各部門に分かれて週2回会議をすると
いう本格的な活動に当初戸惑う光翼であったが、メンバー全員が10月に開催する大学祭
という1つの目標に向けて活動する楽しさにのめり込んでいく。
前期試験前の大学所属サークルへの大学祭開催要項の説明会や、試験後の長い夏休み期間
中の大学に泊まり込んでの全体会議、そして夏休み明け大学祭に向けた最後の追い込み準
備。光翼は、メンバーである同級生や先輩たちと活動を重ねながら、メンバー同士で育ま
れていく友情や淡い恋心、人知れず終わる恋を見聞きするうちに、一歩ずつ大人になって
いく。
大学祭開催への慌ただしい準備活動が続く。メンバーそれぞれ大学祭に対する想いや、加
速し時にすれ違う恋心を抱きながら、秋も深まる10月中旬大学祭開催日を迎える。
光翼にとっては、はじめての大学祭。そして社会情勢と災害による出会いと別れを繰り返
しながら、その後の3年間開催され続けていく大学祭との関わりが始まろうとしていた。
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