冥府の罪人。
それは死者の国を統べる王ハデスの判決を受け入れず、人間界に逃げ出した者たち。
そしてそんな彼らを追うのが、ハデスの影から生まれるペルダリアと呼ばれる断罪者。
二ヶ月前に生まれたレンも、教育係の使い魔スゥ、お目付役の死神ビビと共にペルダリアとして罪人を追っていた。
だが生まれて間もないレンは未熟であり、自分が「壊れても替えの効く人形」だという事実に反発心を持っていた。
そんな彼がとある花街で遭遇したのは、レンを遥かに凌駕する強靭さを持つ罪人のカイ。
カイは何故かレンに執着を見せ、ペルダリアと知りながら連れ去ってしまう。
歪んだカイに身も心も壊されたレンは絶望にくれるが、所々で自分を「個」として扱うカイに戸惑い心は揺れる。
罪人と断罪者。
許されない関係の中で、レンは諦めにも似た安らぎに目を閉じた。
カイが本当は、誰よりも自分なんか見てもいないことを承知の上で。
カイが断罪される日、その目の前に立つレンが迫られる決断とは……。