ウタには父親の再婚を機に兄ができた。名前はイチカ。脚本家兼演出家をしている、出不精で気難しいものぐさ人間だ。
両親がアーリーリタイアをして念願の世界を巡る旅へ出かけたため、二人は一つ屋根の下で暮らすことになった。
二人暮らしにもだいぶ慣れてきた今日この頃。会社員であるウタには、イチカに伏せているもう一つの顔がある。
それは小説家の叶夜(カナヤ)としての顔だ。
ある日担当編集である時雨からの電話で、デビュー作である「骨の髄が溶けるまで」の映画化が決まる。
監督は鬼監督として有名な如月。そして演出家として如月に紹介されたのは、イチカだった。
映画化の話とともに進展するウタとイチカの関係。
果たして二人が最後に辿り着いた結末とは?