放っておけない
私が支えなくちゃ
それが私の役割だから、義務だから……
そんな理由、全部建て前でしかなくて、本当はただ傍にいたかっただけ――
近すぎてなかなか気づけなかった想いを自覚した時、
その目はすでに遠くを見ているとわかった。
視線の先にいるのは……誰?
【あらすじ】
心臓の病気で幼い頃から入退院をくり返してきた従兄の海里を、誰よりも近くで見守ってきたひとみ。
彼に抱く感情が、近親者としての情や責任感などより恋心に近いのではないかと、ようやく気がついた十六歳の初夏、どうやら海里に他に好きな相手ができたらしいと察する。
それは一生一度の大失恋の瞬間だった。
これまでと接し方を変えようにも、今まであまりにも彼中心で生きてきたため、なかなか思うようにいかない。
しかも海里の体調は安定せず、もしかしてという思いが常に脳裏をかすめる。
悩んで傷つき、それでも真摯に海里と向きあい、なんとか新しい関係を築こうともがく日々――それは、彼との永遠の別れへ向けての日々であり、ひとみが己自身と向きあい、自分を取り巻く世界を再認識していく日々でもあった。
※『キミの秘密も愛してる』『それでもキミに恋をした』のひとみちゃん視点です。
個別にお楽しみいただけますが、あわせて読んでいただけば、それぞれの心情がより理解できるかと……
よろしくお願いいたします。