夕暮れの砂浜で、ハルとユカは二人並んで海を見ていた。波の音だけが静かに響く海を前に、ユカはハルに別れを切り出した。ハルはユカの言葉に、二人の今までの思い出を振り返る。ユカと初めて出会った時のこと、ユカに告白した時のこと。恋人になってからの二人きりの幸せな時間のこと。そのどれもが宝石のように輝いていたが、ハルは一度もユカに好きと言われたことがなかった。そんな追憶を破ったのは、ユカの独白。そして、ユカから告げられる初めての『好き』という言葉。だが、ハルと別れたいというユカの意思は固かった。理由を問うハルに、ユカは借金があると重い口を開く。そして、その額に愕然とするハルに、ユカは自分の思いを告げる。ハルには幸せになって欲しい。それがユカの願いだった。真っ直ぐなユカの願いを尊重したいと、ハルはようやく別れを受け入れる。最後に強く抱きしめ合った二人は離れていく。愛さえあれば乗り越えられる。そう思っていたハルは去っていくユカの後ろ姿を見つめる。ハルがユカに人を愛する喜びを教えたように、ユカもまたハルに一方通行の恋が相手を思いやる愛に変わることを教えたのだった。