薔薇と太陽の祝福を受けし王族が統べる、ガレトワ国。現王、そして直系の子達は生まれつき右手の甲に薔薇の紋章が刻まれており、誰もが自分だけのただ1人の騎士、茨の騎士が授けられる。現王の娘であるリゼッタもまた、17の誕生日にヴァランタンという騎士と主従の契りを結んだ。幼かった10年前の約束を果たして……。
無才の姫と見なされ、下を向いて生きてきた王女リゼッタ。茨の騎士は薔薇(そうび)の主に死を捧げるという伝承を受け入れ、リゼッタの茨の騎士となったヴァランタン。これは臆病な姫君が凛と咲く物語、その序章。