時は仮想20世紀初頭。とある極東の島国。花咲いたのは浪漫の文化。華やかな夜の帝都を照らすのは瓦斯燈の光……しかし光ある場所には必ず影が存在する。宵闇に跋扈するのは悪逆非道の犯罪者達―。
軽佻浮薄な軟派者。そんな佐伯宏虎はT京府K田区に務める刑事である。およそ刑事とは思えない膚浅な男だったが、いつも陽気でどこか憎めなかった。
佐伯には幼なじみがいる。名前は日下部薫子。彼の最愛の少女である。世間には公表されていないが、彼女は8年前亡くなった超絶技巧の天才牙彫家、砂川庄太郎の実娘だ。
砂川は、彼が娘のために彫った作品「珠玉の瓦礫に在るが如し」を狙った犯罪組織「煤天狗」によって殺害されていた。砂川は死の直前、盗られるくらいならと作品を隠す。そして薫子に作品の隠し場所を示した暗号入りの根付を持たせ、旧知の日下部忠重へと託した。幼い薫子には、それが暗号入りだとは伏せたまま。
煤天狗は血眼になってこの作品を探しており、薫子が持っている根付のことが知られれば狙われるのは間違いなかった。
愛する薫子を守るため、今日も佐伯は夜を駆ける。違法捜査を行う冷徹な裏の顔……警保局長直属極秘特命捜査官「セント」として。
キャラクター・プロット
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