ことのは文庫×魔法のiらんど「泣ける文芸」小説コンテスト|結果発表

ことのは文庫×魔法のiらんど「泣ける文芸」小説コンテスト 結果発表 ことのは文庫×魔法のiらんど「泣ける文芸」小説コンテスト 結果発表

オトナ女子向け文芸レーベル「ことのは文庫」とのコラボコンテスト第2弾として開催した、泣ける文芸小説コンテストにたくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました。
審査の結果、下記の通り受賞作品を発表いたします!

大賞(1作品)

・ことのは文庫から書籍化検討
・ことのは文庫編集部オススメ作品4冊セット
・Amazonギフトコード5万円分(Eメールタイプ)

君はいつも、迂回する【完】

著:柑実 ナコ

選評
痺れました! 会話でストーリーを進ませる構成の疾走感がすごく心地良くて。なかでも節が眩しくて切なくて……本当に素晴らしい。今作を読むと主要キャラの珠杏、節、臨など2音節で統一感のある呼び方や、短い会話の中でしっかりとキャラの書き分けができている点など、高校生らしいキャラを造形する言葉選びの巧みさを感じました。その一方で、6年を経た社会人パートや「視える」設定が埋もれた印象となったのは惜しいです。とはいえ、中盤からラストで描かれる3人の想いの交錯ぶりは、コンテストのテーマに対して直球ど真ん中であり、本当に感動できる作品でした。あらためて、おめでとうございます!

受賞者コメント

この度は素敵な賞をいただき誠にありがとうございます。選考に携わって下さった皆様に心より感謝申し上げます。

この作品は、とてつもなく意地っ張りな二人の男女が高校時代に築いた"迂回路"の理由を、一人の大切な幼馴染と共に紐解いていくお話です。思春期真っ只中で、心の内を周囲に素直に吐き出すまで遠回りをした日々。将来への漠然とした不安から目を逸らすように、友人達とはしゃいで沢山の寄り道をした日々。自分の(遥か昔の)学生生活も、回り道ばかりだったなあと思います。でも、あの頃の未熟さと同時に、今では得られない眩い輝きがあったことに気付きました。作中の不器用な彼らの軌跡にも、青春の温かい光を感じてほしいと願いを込めて、この物語を書きました。少しでも共感していただければ、とても幸せです。

最後になりますが、いつも私の作品を見つけて下さる皆様にもこの場をお借りしてお礼を伝えさせて下さい。優しいお言葉のお陰で、私らしさを忘れず楽しく執筆することが出来ています。感謝してもしきれません。恩返しになるかは分かりませんが今後も誠実に、作品づくりを一層頑張ります!本当にありがとうございました。

入賞(2作品)

・選評コメント
・Amazonギフトコード3万円分(Eメールタイプ)

奥の恋文

著:菊川あすか

選評
時代劇というと考証の面で読みにくいものになりがちですが、この作品は違いました。「大奥」という舞台をまるで「後宮モノ」とでも言うべき軽やかな読み味で最後まで楽ませてくれました。里沙の視えるがゆえの悩みや葛藤は王道の展開ですが、視えるからこそ何をさせるかのアイデアが秀逸で、それにより感動を生むことに成功しています。今作は4万字程度のため、エピソードの深みがやや不足でそのため感動が浅くなっているのが残念ですが、佐之助が何者なのか?など気になる要素もあって、すぐにでも続きが読みたくなる作品でした。

受賞者コメント

この度は素晴らしい賞を賜り、誠にありがとうございます。

この作品を書く前の私は、自分が何を書けばいいのか、どうすれば読んで下さる方の心に残る作品が書けるのかとても悩んでいました。そんな時にコンテストのことを知り、余計なことを考えて悩むより自分が書きたいことや伝えたいことをそのまま執筆しようと決め、「奥の恋文」という作品が生まれました。

私は江戸時代が好きなので大奥を舞台に選びましたが、江戸時代でも令和でもそこに生きる人々の苦悩はきっと共通するところがあるのではないかなと思いながら書きました。主人公は普通の人とは違うある力を持っているせいで苦しんできたのですが、奥勤めをすることでどう変わっていくのか、そして周りの人が主人公と出会うことでどう変わっていくのかを是非見届けていただけたら嬉しいです。

最後に、コンテストを開催してくださった魔法のiらんど様、ことのは文庫様、ありがとうございました。悩んでいた背中を押してもらえたような気がして本当に嬉しかったです。

これからも自分らしく、読んで下さる方の心に少しでも残るような作品が書けるよう、挑戦を続けていきたいと思います。

この夏の、延長線上で

著:矢向 亜紀

選評
新型コロナウイルスの流行を上手く表現していると感じました。コロナ禍という特殊な環境は世界的にも共通の認識であり、それぞれに感じているのは閉塞感であるはず。この作品はそういった共感しやすいけど重めになりがちな世情を、リアルになりすぎることなく、あるひと夏の不思議な出来事として情緒豊かに書き切っています。惜しむらくはお父さんの「ぼくがしたいことは、きっとぜんぶできたよ」というところで、それを読み手がすぐに思い出せるような印象付けが出来ていれば、より強い感動を得られたように思いました。全編にわたる猛暑ぶりの中に、突き抜けた夏空を想像させる筆致は見事でした。

受賞者コメント

素晴らしい賞を頂き大変光栄に存じます。コンテスト関係者の皆様や、『この夏の、延長線上で』を応援して下さった皆様に、心より御礼申し上げます。

自分が物語と向き合う時の感覚は、親しい友人から話を聞くのによく似ています。特に本作では、その感覚が鮮明でした。2020年の夏という、自身が経験した季節の出来事だったからかもしれません。だからこそ私は、物語に希望を託しました。本作が、あらゆる喪失と再起に寄り添える作品になっていれば嬉しいです。そして、どんな夏が来ようとも、未来が優しく明るいものになることを願っています。

改めまして、この度は誠にありがとうございました。今回の受賞を励みとし、今後も邁進して参ります。

※参加賞(受賞されなかった方の中から抽選で10名、Amazonギフトコード1,000円分)につきましては、賞典の送付をもってかえさせていただきます。
賞典は、魔法のiらんど登録メールアドレス宛に7月中旬頃までの送付を予定しております。都合により多少前後する場合があります。予めご了承ください。

ことのは文庫とは

「心に響く物語に、きっと出会える」

ことのは文庫は、マイクロマガジン社より発行しているオトナ女子向け文芸レーベルです。

2019年6月に創刊後、中島愛さんナレーションのテレビCMが話題の『わが家は幽世の貸本屋さん』シリーズや、料理コラムニスト山本ゆりさん絶賛の『極彩色の食卓』など魅力的で様々な作品が登場しております。