魔法のiらんど大賞歴代受賞作品一覧 第8回

魔法のiらんど大賞
歴代受賞作品一覧

第8回:2014年度 受賞作品一覧

大賞

不器用な君の、【完】

不器用な君の、【完】

春川紗和(はるかわさな)

「夕暮れは 雲のはたてに 物ぞ思ふ 
天つ空なる 人を恋ふとて」
けして手の届かない、そんな君に恋をした──。

進学校に通う橋本小町は高校2年生。
容姿端麗、偏差値モンスター、クラスからも一目置かれる“エース”呉月志貴くんに憧れていた。
週番で居残りをしていた放課後、小町しかいない教室に呉月くんが現れた。
週番の仕事を手伝ってくれるという優しい呉月くんに、小町のドキドキは止まらない。
他愛のない会話のなかで、二人の名前の由来が和歌にあることを知る。
憧れの彼との急接近と、ささやかな共通点を見つけ有頂天になる小町。
でも、その帰り道、呉月くんには大切にしている彼女がいることがわかって……。
憧れが恋に変わった瞬間、失恋してしまった小町。
届かないと知りながら、それでも呉月くんを思い続ける。
この恋はまるで、古人がよんだ悲しい恋の歌にも似ていて──。
呉月くんへの気持ちを和歌の調べに重ねるように、小町の切ない片想いがはじまった。

受賞コメント

この度は、数ある素晴らしい作品の中から、「不器用な君の、」を選んで頂き、驚きと感謝の気持ちでいっぱいです。
この作品は、私の好きな和歌や好きな哲学など、自分の好きなものを好きなだけ詰め込んだ自己満足の作品でした。
そんな自分の殻に閉じこもった作品に意味や価値をつけ、殻を破らせてくれたのは、ひとえにこの作品を読み、温かな感想や応援をくださった読者の皆様のお陰です。
本当にありがとうございました。

< 春川紗和 >

金賞

カモフラ彼女~ハレとアメとLove Charm~【完】

カモフラ彼女~ハレとアメとLove Charm~【完】

眠空(みんく)

『恋愛成就のおまもりの中に自分と好きな人の名前を書いて、好きな人の持ち物につけて三日間相手に気付かれなければ両想いになれる』
──女子の間で密かに広まっている都市伝説的なおまじない。

梅雨明けの放課後。高校三年生の雨多子は、教室のドア越しに身を潜ませ、一世一代の大仕事に取り掛かろうとしていた──。それは、一年の時から片想いをしているサッカー部のさわやか男子、芦屋君の絵の具バッグにおまもりをつけること。
ミッションは無事クリア。あとは三日後におまもりを回収するだけ……のはずだった。ところが、三日後。芦屋君の友達で野球部のエース、栗原君に呼び出された。栗原君が取り出したのは、芦屋君につけたはずのおまもり!? おまじないの相手を間違ってしまった雨多子は、片想いをバラさない代わりに栗原君の彼女を演じることになってしまう(ほぼ脅迫)。
ドSな栗原君に振り回されながらも、芦屋君と仲良くなれて喜ぶ雨多子。
同時に栗原君が偽装彼女を作らねばならない、ある秘密も知って……。
高校最後の夏。雨多子の運命を左右する恋が動き出す──!

受賞コメント

この度は大変栄誉な賞を頂き、とても嬉しく思います。
予選通過からノミネート、そして受賞に至るまでの出来事が夢のようで、ふわふわとした日々を過ごしていました。
自分の書いた作品が本になったらという夢を、小学生の頃から見続けていました。
ここまで諦めずにやってこれたのも、ひとえに応援してくださった方々のおかげに他なりません。
本当にありがとうございました。

< 眠空 >

銀賞

誰にも言わない【完】

誰にも言わない【完】

卯花かなり(うのはなかなり)

母のいない週末、隣の部屋の住人「オッサン」のもとへと通う妃望(ひの)。
金曜日の夜に始まり月曜日の朝に終わる2人の、密やかで淫らな関係に名前はない。
都内の進学校に通う高校3年生の妃望は、娘をかえりみない母親と2人でくらしている。
学校では友達も作らず、家に帰っても一人、孤独な毎日を送っていた。
週末になるとどこかに出かけていく母の留守に、ふとしたことから知り合った隣の住人、燈(ともり)と、やがて週末を一緒に過ごすようになった。
体の関係を重ねる2人は、恋人でもなければセフレでもない。
安らぎを求めるように燈の部屋に通う妃望は、いつも記憶の一部を失くしている。
燈を「オッサン」と呼ぶ妃望は、燈の名前を憶えない。
燈の部屋には、女友達の明日香やアシスタントと名乗る青年が出入りしている。
彼らに会うたび妃望は居場所を奪われるような不安に襲われていた。
ある日、燈が引っ越すことを知らされ──。
失くしてしまった妃望の記憶には、あまりにも残酷で悲しい真実が隠されていた。

受賞コメント

この度は、素敵な賞を頂きありがとうございます。
読者の皆様からの言葉に励まされてエントリーを決めた作品が、このような賞を頂けて喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。
今はまだ信じられない気持ちもありますが、自分の作品が書店に並ぶという現実に、ワクワクもしています。
沢山の方から頂いたチャンスを無駄にしないように、今日からまた作品と向き合っていこうと思います。
本当にありがとうございました。

< 卯花かなり >

魔法のiらんどclub賞

絶対服従【完】

絶対服従【完】

(ゆう)

超ドSのイケメン御曹司と彼に忠誠を誓う付き人の少女。
許されない二人の切ない想いが揺れる、服従×純愛ストーリー!

親に捨てられた少女・響(きょう)は、4歳の時、世界屈指の大財閥、華秋院(かしゅういん)家に拾われる。
華秋院家には響と同い年で、類いまれなる美貌を持ち、スポーツも勉強も優秀な完全無欠の御曹司がいた。家柄にも恵まれ、すべてが完璧、誰もが憧れる存在──紫月。
そんな紫月とともに一緒に育ってきた響は、中学の時紫月の付き人となり、高2の今までずっと紫月に尽くしてきた。
冷徹で無表情だけれど、響に対してはいつも信じられないほどドSな紫月。
「ちゃんと躾けたはずだぞ?」「お前は俺の言う事だけ、聞いていればいいんだよ」
ある時から響を毎晩のように抱くようになっていた紫月は、響に忠誠を誓わせる。
「な? お前はこれだけでこの有様。お前の身体をこんなにしたのは誰だ?」
胸元から消えない服従の証。それは紫月によって散らされる赤い華。
もてあそばれているとわかっていても、いつか捨てられるとわかっていても……。誰よりも紫月のことを理解している響は、紫月のことを心から慕い、いつしか恋をしていた。
私は従順な紫月様の犬。身を粉にして彼に尽くそう。
──そう誓ったはずだった。
しかし、紫月に政略結婚を命じられた許嫁が現れたことで、響は華秋院家から出ていかねばならなくなって──。

受賞コメント

この度、このような素晴らしい賞をありがとうございます。
本当に驚きと感謝で胸がいっぱいです。
この作品は、読んで下さった読者様がいてくれたからこそ、温かいお言葉を頂いたからこそ、完結まで漕ぎ着けることができました。
読者様の感想は勿論、今回の受賞で、小説を書いていて良かったと心の底から思います。
本当にありがとうございました。

< 遊 >