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加藤無理

登場人物の過去

 登場人物達の過去をたくさん書けば書くほど物語や人物像の深みが増すけれど、安易にやりすぎない方が良いと私は思う。

 過去を明かさない登場人物が必ずしも中身空っぽとは限らない。言動や何気ない仕草で人物像が深堀りされることはある。

 主人公の敵にも可哀想な過去が有って、そこに読者を同情させる手法は有名な作品にも多用されているけれど、私は過去を明かさないでも良いと思う事がある。

 「敵にも家族がいるんだぞ!」と、戦争中に言ってる人がいたらその人はオメデタイ。まぁ、ロシア人が「ウクライナ人は人間だぞ!」と言うのは分かる。けれども侵略されているウクライナ人が「ロシア人は人間だぞ!」と、言える余裕なんてない。戦わなければ殺されるのだから。

 敵にどんな過去があろうとも戦わなければならない時があるんだよな。

 勧善懲悪よりも判官贔屓が好まれるけれど、世の中甘くない。

 ロシア人に死んで欲しいとは思わないけれど。

 まぁ、悪には悪の美学がある。可哀想な過去を描写しなくても魅力的な人物像は描ける。

 私もそんな物語が描けるといいな。

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