10月7日(土)
夕霧立ち込める秋の夜に祈り願うのは……サンタ・グラーフのしあわせな人生であり、あたたかで幸福な家庭を夢見るようなホワイト・クリスマスをです。
息が……呼吸困難になって、おくすりを飲んで、しっかり休養しないと……精神領域が高負荷で脳がクラッシュする……。
このまま……このままではいけない。
でもこれ……これは本当はソナーで……ソナーマンの問題で……だからわたしはサンタ・ハイドロフォンと名前をつけて……。
わたしはおくすりを飲んで、呼吸困難がおさまるのを待つと……ゆっくりと深呼吸をして、しばしベッドで仮眠をとるのでした。
クリスマス……クリスマス・イヴにサンタ・グラーフで……本当はソナーマンのお誕生日にサンタ・ハイドロフォンで一緒にホエール・ウォッチングでも出来たなら、どれだけしあわせなクリスマス・イヴでしょうか……。
＊＊＊
ふむ……ここまでは私の後妻が書いて、ここからは私が交代して続きを書くべきなのかもしれない。少なくとも妻は今一度、きちんと休養させないといけないのだろう。
私の後妻ほどの強い人間が、この状況には正直な話、面食らっている。
一体何がどうなれば、私の後妻がこのように衰弱してしまったのだろうか。
とても強い人間がこうも脆く壊れゆく様は……インターネットという負の側面を強く感じさせる。
まあ、いい……ここから先は私が妻に代わり、続きをしばし書き留めよう。
妻は優しい性格をしているので、さぞかし欺きやすかったことだろうが、私は違う。妻のように欺けるなどとは考えぬことだ。
あらかじめこうして断り書きをするが、私の目はごまかせん。
妻は私の預かり知らぬ所で、何か悩みを抱え込み、精神領域ごと崩壊してしまったのだろう。妻の身に何が起こったのかは、流石にわからぬ。
ただ……何らかの精神攻撃を受けたのであろうことは、私が妻を診た限り、それは容易に推察できた。
ただ……一体これは何事か？
私の預かり知らぬ所で私の妻を欺いて酷い裏切りか何かがあったのだろうか？
おそらくは……そんな所だろう。幸い妻が使っているこちらの名義は性別を問わぬ、中性的な名義だから、私が妻のこちらの名義の方ならば、交代してこうして妻の代わりに更新していくことそのものも可能で、もしかしたら妻自身がそれを予測してこちらの名義を残しておいたのかもしれない……。
いずれにせよ、何か酷い出来事があったみたいだ。妻が元気になるまでは、とりあえず……しっかり休養させた方が流石に良さそうだ。