既成と事実の〜にコメント、シーン、しおり、スタンプ下さりありがとう、ありがとうございます😭🙏Un　BUTTERにもありがとうございます！ぷらいべったーもお読み頂きありがとうございます🙏


既成と事実の〜は、当初三万文字程度で終わる予定が、急遽長編にすることにしまして（楽しくなってきて）、矛盾点が発生していたかと思いますが修正しながら書いております。すみませんm(_ _)m💦


今回のブログはなにしようかなと。たまには趣向を変えて３兄弟の話にしてみました🤗需要はないかもしれませんが、お暇がある時にでもどうぞ〜🙏✨



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UKB銀行のとある富裕層向け支店。


窓口が並ぶ銀行とは違い、億単位で投資をする富裕層向けの窓口、プライベートバンクというものが存在する。


一戸建てのようなアットホームな建物。一等地に人口的な自然をはべらせて、町の喧噪から遮断されたような空間を演出するその銀行。


今日はそこに朋政家の３兄弟が訪れていた。



「朋政様、本日は兄弟揃っての御足労、心より感謝申し上げます。」


UKB銀行プライベートバンクの女次長、梅村鶴子36歳独身が朋政家の担当となっている。


梅村は艶めくロングヘアとその美貌を有効活用し、数多くの富裕層から投資金額をせしめてきた。


代々と長い付き合いのある朋政家の若年層であれば、百万単位でまき上げるのは簡単なはず。


見てなさいよ若年層美男子ども。イケメンがなんだ、芸能人がなんだ。私の美貌の前では掠れるというものよ！


「こんにちは鶴子さんー。今日もお美しいとこ早速なんだけど、豪ドルと米ドルの仲値教えてくれます？」


そう青司が満面の笑みで彼女に問いかければ、


「豪ドル93円78銭、米ドル142円87銭」


朱朗がスマホを見ながら答える。そしてすかさず次男の亜泉がフォロー。


「朱朗が答えちゃ鶴子さんの仕事なくなっちゃうじゃん。あ、俺は純金積立やろうかなって思ってるんですけど。」
　

梅村鶴子は名前呼びされるのが辛かった。鶴子なんて鶴の子でもないのになぜ両親は人間につけたのか。
　

３人がラグジュアリー感漂うソファに、向かって右から青司、朱朗、亜泉と座っている。３人とも脚を組み、えらそうな態度でくつろいでいた。


しかしながらこの３兄弟、３人揃うととんでもない威力を放つ。放射線よりもリスキーな光線が彼らから発せられるのだから鶴子はたじたじになった。


「（顔が劇的にいいという事実に加えオーラが半端ない！しっかりするのよ鶴子！）」

　　
鶴子は手元のノートパソコンで３人の資産と運用状況を確認する。しかしこの３人、案外手堅く大口取引には踏みきっていない。


まずは一番やりやすそうな次男、天然系の亜泉に先手を打つ。


「亜泉様、純金積立は一定の金額を毎月投資するものになります。月10万単位でお預かりさせて頂ければ、手数料もお安くなりますが。」　

「え？10万単位？純金投資は少額からできるって聞いたんですけど。」

　

「あず兄、なんで純金とかいくよ？やめとけやめとけ、手数料搾取案件じゃん。」

「しかもインカムゲインもないしね。あずみたいな初心者はNISAがいいんじゃない？ですよね、鶴子さん。」


青司が鶴子に笑いかけた。


当然鶴子の顔は引きつっている。


「（少額投資ならわざわざここへ来るな、窓口へ行け！）」そう思った鶴子。


しかし彼らの両親は有名な資産家。そのご子息に失礼があってはならないため、鶴子は新たな作戦へと変更する。


３人に縦長のクレジットカードのパンフレットを見せた。


「こちらのカードなんですが、今ご入会頂ければ純金積立の手数料をなしにさせていただきますけれど。」

「げ、それって年間費50万のブラックカードじゃね？星來が勧められて俺が引き留めたやつ。」



「いや、星來ちゃんは朱朗が騙されてカード作りそうになったから引き留めたって言ってたよ？」

「は、はあ？ちげーし！（てか。いつのまに会ってたんだよ……）」


くそう。すでに既知案件だったか。そして３男朱朗よ。今紅茶を持ってきた女子社員の手にさりげなくタッチするな。


「青兄も確か別バンクで積立やってたよね？月10万かけてるってやつ。さすが青兄。」

「ああ、実来春風貯金ね。」

「なにその個人名貯蓄。怖いわー。」


はあ？別バンクで月10万の積立？うちでやれよ、他バンクの話すな！


「朱朗、ここで風音星來貯金やれば？」


風音、星來？え？二人は本当にできてたの？って亜泉！そこに立ってる女子社員に手をふるな！今は私と話してんでしょ？！

　
「馬鹿かよ青兄。俺は悪いけどすでに星來と二人でカップル貯金してますけど？」
　
「いやいや、彼女の有り金に頼ろうとしている魂胆丸見えなんだけどなあ。」

「男が養うとか？考え方がジジイかよ。今や男も女も同じ立場なんだから一緒に稼いでいくべきっしょ。」

「因みに月にいくら貯金してるの？」

「俺は月２万で星來が３万。」

「全然同じ立場じゃないよね。さすがクズ代表。」


因みにカップル貯金ではなく、不測の事態に備えるための貯金。芸能界でやっていけなくなった時のためのものだった。


「ところで青兄はなんでUKBじゃなく、別バンクで実来さん貯金をしているの？」


亜泉が青司に不思議そうに聞く。青司は、なんの嫌味もなさそうに聞く亜泉の頭を撫でながら言った。


鶴子にとっては嫌味でしかない。今ここで聞かんでもいいだろ。


「未来銀行って名前の銀行だから！」

「え、青兄って以外と。なんていうか地方のヤンキーみたいな考え方だね。」
　
「あず君、なにそれ。」

「ほら、車のナンバーを彼女の名前にするヤンキーっているじゃん。ナナコは775とかさ。」


鶴子は思った。ツルコにも265万円の投資をしてほしいと。


「てか青兄さあ。恋人でもない女のために貯金してるとかやばみ。あ、お姉さん紅茶おかわり下さーい。」

「は、はいっ」

「あとお姉さんの携帯番号書いた名刺もー」
　

女子社員を公然の場でナンパする朱朗も凄いが、勝手に他人のために貯金をしている青司は恐怖だと思った鶴子であった。


そして３人は何の投資もせず帰宅。ただの暇つぶしで来ただけなのであった。




【終】