【2】1階の図書室の隅で
『1階の図書室の隅で』
「ねぇ、いつもそこにいるよね。本ってそんなに面白い?」
図書室の窓際、いつもの特等席で本を読んでいると窓の外から声がした。
驚いて顔をあげると、秘かに想いを寄せているサッカー部の彼だった。
突然のことで上手く返事が出来ず言葉を詰まらせていたら、彼はにっこりと笑って1枚の図書カードを私の顔の前にズイッと差し出してきた。
「えっ、な、なに…?」
「これ、貰ったんだけど俺本とか興味なくてさ。だから…一緒に選んでくんね?」
突然の申し出に思わず驚嘆の声が出た。
どうしてまた私に…?おずおずと聞いてみると、彼はまた眩しい笑顔でこう言った。
「んー…、君と仲良くなりたいから」
「私と…?」
「うん、そう。ダメ?」
あざとく首を傾げる彼を見てると段々と顔が熱くなるのを感じた。
嬉しさと恥ずかしさと嬉しさと嬉しさと…。
これは期待してもいいのかな。なんて思いながら。
「あさってなら、大丈夫」
「やった!じゃあ、また、あさっての放課後に」
そう言うと彼は去っていった。
突然訪れたチャンスにドキドキが止まらない。
彼が私と仲良くなりたいって言ってくれた。ただそれだけで空も飛べそうな気持ちだった。
私は彼にオススメする本をうきうきしながら選ぶ。
あぁ、やっぱり彼が好きだなと気持ちを噛みしめた。
おわり
創作お題スロット
サッカー/図書カード/あさって
シェア
コメント
ログインするとコメントが投稿できます
まだコメントがありません