Defend love番外編~キョーヤ第2部①~
(※自己満足の世界です。
非公開にした作品の番外編ですので、ファン登録者様専用となっております。
ご容赦願います。)
ルークとは、歌舞伎町でホストをしていて、ハナが借金までして貢いでる男だという事は、すぐに分かりエリナに事情を聞いた。
男が絡むと、女ってのは七面倒臭ぇもんだ。
エリナとルークは同級生ってだけで、ホスクラに行った事は無いし、特別な関係でも無いと断言した。
それでもハナは、エリナとは仲良くできないの一点張りで、仕方なく他のキャストに指導役を頼み、ハナも真面目に仕事を取り組んで
早、3ヶ月が経った。
ハナのズケズケ物を言うとこが気に入る客が増えはじめ、中には会社の社長や重役というポストに就いてる人間もいて
その人達は口々に「自分達に率直な意見を言ってくれる人が貴重でね」とハナとの会話を楽しんでるらしい。
「キョーヤさん、そろそろ私の事、指名してよー」
「は?しねぇよ」
店にも俺にも慣れ、ハナは時々こうやって俺に”営業”をかけてくる。
「ハナちゃん、こないだも言ったと思うけど、立花さんに慣れ慣れしわよ」
「そう?キョーヤさんが嫌って言うなら聞くけど、外野に言われてもなぁ」
ハナは周りを、あまり気にしない性格らしく、こういう事はしょっちゅう起きているらしい。
「ハナ、”立花さん”だ。分かったか」
「はぁい」
駄々っ子だったハナが、ここまで真面目に仕事に取り組み、しかも指名まで取ってることが俺は少し嬉しくて、甘やかしてしまっていたかもと反省する。
「ハナさん、凄いですよ。今月の売上です」
「あ?…あぁ」
売上は日々、伸びていて正直、俺もビックリするほどだ。
ただハナには問題がある。”媚びない”と言えば聞こえはいいが、それは周りのキャストにも気を遣わないって事。
この世界は”1人”ではやっていけない。指名客が増えれば、それだけ助けは必要となる。
ここらで1度、きちんと教えておかないといけない。そう考えた俺は、店の人間が言うより俺が言った方がハナは聞くと思った。
なのに、ハナは。
「なんでっ?私、頑張ってんじゃん!指名してくれる人は私と話たくて来てるんだよ?」
「客が重なった時の話してんだろうがっ、ヘルプに入ってくれるキャストがいるから回ってんだ、自分1人で出来てるなんて思うな」
「褒めてくれるって思ってたのにっ!キョーヤさんも私みたいな人間なんて、何とも思ってないんだっ!」
「ハナみたいって何だよ」
「キョーヤさんだって、みんなにチヤホヤされるような美人が好きなんでしょ?なんの苦労も知らないでさ、男に守られて愛されて、ぬくぬくしてるような人が好きなんでしょっ!」
「なんで俺の話になってんだよ。それに誰だよ、その女」
「キョーヤさんの奥さんだよっ!スマホの待ち受けにしてんじゃんっ!みんなに愛されて生きてきました!みたいな典型の女っ。なんだっけ、そういうの…勝ち組?とか言うんだっけ」
俺の待ち受けは、昔シグレ兄が送ってくれたサナちゃんと子供達の写真だ。サナちゃんが、なんの苦労も知らないだと?勝ち組だ?…俺の中でプツっと音がした。
「お前は何を知って言ってるんだよ」
「知らないよっ!でも、そうじゃん。美人だし、キョーヤさんていう旦那がいて何不自由ない暮らししてるんでしょっ、だから、そんな笑顔できるんじゃんっ!」
「お前、もういいや。好きにやれ、誰も何も言わねぇよ」
「えっ…」
「聞こえなかったのか?誰も口出さねぇから、1人で好きなようにやれよ。店には俺から言っておく」
失望、とでも言うんだろうか。俺は真っ直ぐ家に帰る気になれず、ダチ夫婦の家に寄った。
「まぁさ、サナちゃん貶されたみたいで嫌だったとは思うけど、その女、サナちゃんの事知らねぇんだから仕方ねぇだろ」
「そうそう、サナっぺだって不幸を売りにしてないし、そもそも同情欲しがる子じゃないしね。端から見れば幸せな若い美人妻じゃん」
それからナギがニヤッとしながら俺を見て。
「キョウヤさ、そのハナって子の事が気になるんだ?」
「はっ?違ぇって、ただ…」
「ただぁ?・・・まっ、いっか。」
俺は、ただハナが成長できたと思ってたのに、違ってたから……。
第2部②へ続く
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