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秋風 紫雨

あきかぜ しう

pixivでも同じ作者名で、加筆修正版の弄月鬼(名前変換あり)を公開しております。良かったら、そちらにも遊びに来てくださいませ。

弄月鬼、二章・第六話



*時刻について〜

文中で、白兎が一日の事を『二六時中』と言っていますが、これは今で言う所の“四六時中”と同じ意味で、書き間違いではありません。当時の時代背景にもとづき、このような表記となっています。

 現代の一日は、朝と昼・夕と夜の、4つ区切り。4×6時間=24時間なので、四六時中。

江戸時代の半日は、6刻(現代の時間に直すと一刻は、約2時間)なので一日だと、2×6刻=12刻となるので、二六時中と言いました。

 このように一日を昼と夜に分けて時間を当てはめる方法を、不定時法と言います。

読んで字の如く、時間が定まっていない__一定ではないという、時間に追われる現代人からすると思わず首をひねりたくなるような、不可思議きわまりないものでして⋯⋯

 日の出と日の入りが時間の基準となるので、昼夜や季節によっても一刻の長さが変わるのです。

また一刻の数え方も、九〜四に下がっていって、四の次はまた九からになるという、不可解な数え方をします。

例をあげますと、昼九つ(現代の昼12〜14時頃)・昼八つ(現代の14〜16時頃)・夕七つ(現代の16〜18時頃)・暮れ六つ(現代の18〜20時頃)といった感じ。

 一見して馴染みのない数え方のように思われるかもしれませんが、日中の間食をオヤツと言うのは江戸時代の名残で、当時の人々が昼八つ頃に間食していた事が、オヤツの語源となっています。八つ時→お八つ→おやつ、というように。

 ちなみに⋯⋯江戸時代は、時計が一般に普及していませんでしたので、庶民は寺などが打つ、時の鐘(言うなれば、時報やチャイムのような物)で時間を把握していました。

明け六なら、最初に鐘に気づいてもらうために捨て鐘を3回、その後に6回鐘を打ったそう。

 明け六つ、暮れ六つ、などは耳にされた事がある方もおられるかと思いますが⋯⋯明け六つは日の出の約30分前、暮れ六つは日の入りの約30分後を指し、朝は明けきらぬ内に、夕は暮れてから、時の鐘がなっていた事になります。

なので、一章・第十話の56ページ、暮れ六つの鐘が鳴る場面では、辺りが真っ暗__正確には薄闇の時間帯と被っていそうですが、月が明るいと影が際立ちますし、人の心の闇の深さも表したかったので、あえて暗くしています。__と、なる訳です。

 これは余談ですが⋯⋯私は最近まで、明け六つや暮れ六つは、日の出と日の入りぴったりを指す時刻だと勘違いしておりました。思い込みというやつですね。

もしかしたら、こういった間違いがまたあるかもしれません。何か気になった点がありましたら、指摘していただけると助かります。

未熟者ですが、これからもよろしくお願い致します。


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