ファン
163

秋風 紫雨

あきかぜ しう

pixivでも同じ作者名で、加筆修正版の弄月鬼(名前変換あり)を公開しております。良かったら、そちらにも遊びに来てくださいませ。

弄月鬼、三章・第九話



 今回は、不知火さんの目線寄りのお話でしたが⋯⋯傷心の不知火さんに対する怜月の言動が、いささか目にあまる回でしたね。

いかんせんアクの強いキャラなので、見方によっては悪役のように取られてしまうかもしれません。

けれど私自身は、怜月を悪だとは思っていませんし、そのように書いているつもりもありません。

あえて怜月の役柄を言うなら『トリックスター』が、一番しっくりくるのではないかと。
 
 もちろん怜月の言動には、怜月なりの理由と正当性があります。しかし本編だけでは、怜月の心理を読みとく事は難しいかもしれません。

現時点では、怜月が白兎や美月を大切に思っている事さえ伝わっていれば__と考えています。


 補足説明になりますが、良家の子女が持つ守り刀の本来の用途は、自決用(自殺用)です。

あくまで最終手段ですが⋯⋯

敵に襲われて窮地におちいり__例えば、強姦されかかるなど__もはやこれまでといった時には、この刀で自分の喉をつき『死をもって、矜持を守れ』そういった意味合いの刀なのです。

 姫であるなら持ってしかるべきの守り刀を、美月が所有していない訳、ご理解いただけましたでしょうか?


 ちなみに今回、夕餉の支度で席をはずしていた美月は、ご飯を炊いていました。

この時代は高い薪を節約する為、ご飯は昼や夜の分もまとめて炊くのが一般的だったそうです。

が、美月は朝昼晩・毎回のように炊いています。それは、風間の意向によるものでもありますが⋯⋯

『炊き立ての白いお米は、一番のごちそう』美月自身が、そう思っているから。

そしてそれを、お客である不知火に食べてもらいたかったのです。

 美月が炊き立てご飯でお結びを作って、不知火に持たせる。そんな場面があったのですが、どう考えても差し込む隙がなかったので、泣く泣くカットしました。

寒空に、暖かいお結びを抱えて帰路につく不知火さん、想像で補完していただければと存じます。

コメント

ログインするとコメントが投稿できます

まだコメントがありません