弄月鬼、三章・第九話
今回は、不知火さんの目線寄りのお話でしたが⋯⋯傷心の不知火さんに対する怜月の言動が、いささか目にあまる回でしたね。
いかんせんアクの強いキャラなので、見方によっては悪役のように取られてしまうかもしれません。
けれど私自身は、怜月を悪だとは思っていませんし、そのように書いているつもりもありません。
あえて怜月の役柄を言うなら『トリックスター』が、一番しっくりくるのではないかと。
もちろん怜月の言動には、怜月なりの理由と正当性があります。しかし本編だけでは、怜月の心理を読みとく事は難しいかもしれません。
現時点では、怜月が白兎や美月を大切に思っている事さえ伝わっていれば__と考えています。
補足説明になりますが、良家の子女が持つ守り刀の本来の用途は、自決用(自殺用)です。
あくまで最終手段ですが⋯⋯
敵に襲われて窮地におちいり__例えば、強姦されかかるなど__もはやこれまでといった時には、この刀で自分の喉をつき『死をもって、矜持を守れ』そういった意味合いの刀なのです。
姫であるなら持ってしかるべきの守り刀を、美月が所有していない訳、ご理解いただけましたでしょうか?
ちなみに今回、夕餉の支度で席をはずしていた美月は、ご飯を炊いていました。
この時代は高い薪を節約する為、ご飯は昼や夜の分もまとめて炊くのが一般的だったそうです。
が、美月は朝昼晩・毎回のように炊いています。それは、風間の意向によるものでもありますが⋯⋯
『炊き立ての白いお米は、一番のごちそう』美月自身が、そう思っているから。
そしてそれを、お客である不知火に食べてもらいたかったのです。
美月が炊き立てご飯でお結びを作って、不知火に持たせる。そんな場面があったのですが、どう考えても差し込む隙がなかったので、泣く泣くカットしました。
寒空に、暖かいお結びを抱えて帰路につく不知火さん、想像で補完していただければと存じます。
シェア
コメント
ログインするとコメントが投稿できます
まだコメントがありません