時は承応(1652年)のころ ──江戸上堺町では前髪立ちの美しい芸子らによる「かぶき踊り」が庶民の人気を博していた。中でも村山座の花形若衆・玉川千之丞の艶やかさは当代随一。その舞台姿をひとめ見ようと芝居小屋につめかける見物客があとをたたない。 一方、幕府は風紀上の弊害を理由に若衆歌舞伎の弾…もっと見る