旅のおわりとはじまり

作者汪海妹

NESTを引退してから、旅行をしたり、近所の子供に英語を教えたりして過ごしていた塔子さん。盆暮れには帰ってくる孫の千夏ちゃんと太一君。繰り返される温かな交流にもやがて最後が来る。ところが、穏やかに死ぬ準備をしている塔子さんのところに、まだ、やり残していることがあると言う人が現れて……。

僕の幸せ…

「どんなにつらいことがあっても、最後にはちゃんと生きました。あなたは。最後にしなければいけないことが、でも、まだ残ってるよ。」

「なに?」

「自分を認めて許してあげて……」

静かな目で、でも、厳しい目だった。この人にしては珍しい。こういう少し怖い顔。

「でも……」

「あなたが認めて自分を許さないと、結局は清一が救われない。」


…本文より抜粋 by ??? ??歳