松尾君は絶対勘違いしています

作者汪海妹

長く片思いをしていた女の子に意を決して告白したトシ君。しかし、その場でその気持ちは勘違いだと言われて……。イケメンでめちゃめちゃモテるのに、なぜか本命の彼女には粗雑に扱われているトシ君。というか、俺って本当に芽衣の彼氏なんだろうかと時々悩んでいる。自分はトシ君には合わないと思っていて、ことあるごと…

その日、僕は春菜の助けを借りて、知人というラインを越えて、初めて彼女の世界のようなものに一歩、足を踏み入れた。


僕は、その時まで芽衣のことを遠くから眺めていて、そして、よく知りませんでした。


芽衣は、とても強固な壁を持っている人でした。それは透明な壁だった。だから、彼女に近づいてみようとする人でなくては、彼女がそんなに強固な壁を持っている人だなんて気づかない。


「今日、呼び出したこと、怒ってる?」

「怒ってはないですけど、松尾君は間違ってると思います」

「間違ってる?」

「絶対勘違いしてます」

「……」


本文より抜粋①


「ごめん」


つい、そこでポロリと謝ってしまった。


「なんで謝るんですか?」

「芽衣が俺に好きになってくれと頼んだわけでもないのに」

「……」

「芽衣からしたら、事故に巻き込まれるようなもんだよね」


ため息が出ました。


本文より抜粋②