終わりなき哀しみ【シナリオ版】

作者黒川亜季

人間嫌いの天使・麻里と、人間が大好きな使い魔の夏実。自分とは正反対の誰かに反発し、惹かれ合う、そんなふたりの物語

■物語全体のあらすじ


遠い昔、おそらくは人が心を持ち、物事を「善」と「悪」に分けるようになった時から、人に寄り添うようにある存在――天使、悪魔、そして神。


天使。心の光に働きかけて善事をなさせ、裁きを与える存在。

悪魔。心の闇に働きかけて悪事をなさせ、快楽を与える存在。

神。全てを創造し、全てを司っていると信じられているが、過去も、そして未来も、その姿を知られることはない存在。


人が暮らすところ、その姿が見えないとしても、必ず天使と悪魔は対で存在し、人の心に影響を与え、人の心から影響を受けている。いつから自分たちがそこにあって、いつまでそこにあるか、知ることもなく、ただ与えられた役割を――誰かから命じられるままに――果たし続けている。


物語は、とある地方にある海沿いの町から始まる。工業都市でもあるその町は、海を見下ろす丘に小さな湖を抱く、町中にいくらか彫刻が飾られている他はいたって普通の地方都市だ。


主人公の麻里(まり)。天使。本人が「見習い」と自覚しているように、大きな力は持っておらず、この町で罪を犯した人間に小さな罰を与える日々を過ごしている。誰の罪を裁くか、どの罪を裁くかは “上の方” にいる誰かが決めていて、麻里はただそれを実行している。


麻里は自分のことを、「出来損ない」だと感じている。他の天使たちが――後で登場する悪魔たちも含めて――自らの役割に疑問すら持たない中で、なぜ自分にこんな役割が与えられているのか、どうして自分はそれをしなければならないのか、疑問を持ってしまったから。人間たちの犯す罪と、裁きの理不尽さから、麻里は人間嫌いになった。


そんな麻里が、強い思いを残して亡くなった人間の思念に食い殺されそうになったところを、同じ町に住む悪魔の夏実に救われる。夏実もささやかな力しか持っていない、いわゆる使い魔で、麻里とは反対に自分が人間に運んでいるのが不幸だと知っていて、それでも人間のことが大好きだ。自分が同族とは違うことも気付いていて、麻里の感情に触れて以来、ずっと気になっていたことが後に明かされる。


人間のフリをして、人間と同じような生活をしている夏実。麻里はそんな夏実の部屋で、夏実に傷を癒やされながら、少しずつ夏実の心を知ってゆく。天使と悪魔、相反する存在でありながら、どこか自分と似た感情を持っている夏実に麻里は惹かれてゆく。季節が巡り、傷が癒えた麻里に夏実が語りかける。「一緒に、外に出ようよ」と――。



■元小説の作品URL

https://maho.jp/works/16743963567755620339