*
その男、執事である。
「お嬢様、
食後のお紅茶はダージリンに致しました」
「お嬢様、
16時にご学友とのご予定があるのでは?」
「お嬢様、
……有能、かつ冷静。
「お嬢様、」
「わたしは“お嬢様”じゃない」
「……少し加減がよくないようですね」
冷静執事は全然わたしに落ちてくれない。
「好きだよ
「私もお嬢様を敬愛しております」
隠すのが上手い。
「影森、はぐらかさないで」
「お嬢様に私の思考を知られてしまうと、
お嬢様は私を首になさるかもしれません」
……そうだね。
早く“執事”なんか首にしてやりたい。
*
破天荒・ピュア・一途 な お嬢様
「影森はわたしのこと好きじゃないの?」
×
「お嬢様、
私はお嬢様の身を案じているのです」
変態偏愛有能執事(但し、冷静。)
*
(…はやくほんとの気持ちが知りたい。)
( 彼女には知られてはいけない。 )