レイテル・ウェストと白亜の女神像

作者羽都稟華

私の名はレイテル・ウェスト。

今をときめく遺産学者です。

あらあら、遺産学者とは何だですって?

この『白亜の女神像』に関する私の手記はそんな遺産学初心者のあなたにもきっとお楽しみ頂ける事間違いなしですわ。

さぁ、華麗なる私の冒険譚をとくとご覧あれ。

え〜、コホン。


私の冒険譚をお読みいただく前に、皆さんにはこのお話の中に出てくる『遺産』というものについてご説明しなくてはなりませんわね。


『遺産』というのは「クレ・エンテ」と「エ・レステル」という二人の偉人がそれぞれに作り上げた、大小様々な大きさや形をしたアーティファクトのこと。


私たちの生活を助けてくれる、今の私たちにとってなくてはならない存在です。


あなた方の世界で言えば『機械』がそれに近いでしょうか。


あら、そこのあなた。


なぁんだ、アーティファクトだなどと格好つけた言い方をして、ただの機械か、などと侮ってはいけません。


この『遺産』という名のアーティファクトは、今の私たちの──いいえ、あなた方の世界の知識と技術を以ってしてもとても再現し得ない──しようもない、ものすごい発明品ばかりですのよ。


例えば私の持っている、一見何の変哲もないただのスティック状の遺産──。


その先端には一つのスイッチが付いていて、スティックを建物の入口などに置いてスイッチをオンにしますと自分以外の人間が通れず、中の様子すら見えなくさせる透明なバリケードが出来上がります。


他にも壁をすり抜けていける様になるブローチですとか、まぁとにかく色々なものがあるのです。


そしてその遺産はすべからく、決して壊れる事がありません。


どれほど高い場所から落とそうが、ハンマーで思い切り叩いてみようが壊れず、もちろん耐用年数などというものもない様です。


私たちの生まれる百年以上昔に作られた、決して壊れる事のないアーティファクトの数々……。


それが『遺産』なのです。


二人の作り上げた遺産は、今見つかっているだけでも数万点──どこかに隠されていたり埋もれてしまっている未発見のものを合わせれば、おそらくとんでもない数になるでしょう。


さて、今日のお話はその『遺産』の中でも最大級といってもいい大きさを誇る、とある塔に関する私の冒険譚です。


さぁ、私の華麗なる探索をとくとご覧あれ。