かみさまの手かみさまの味②

作者汪海妹

パティシエのひろ君とフードライターの暎万ちゃん。ひろ君の才能を愛する暎万ちゃんは彼に自信を持ってもっと前向きになってほしいと思うけど、本人はなかなか自分を認めようとしない。チャンスがあってパリで有名なパティシエのもとで修行することになりましたが、才能と実力のある人たちの間で、自分が一体なにをしたい…

 いつまでもこんなふうに歳を取らずに永遠に似たような日々が過ぎていけばいいのに。ひろ君と一緒に過ごせるなら、わたしは永遠に生きるのにな。


「ね、ひろ君、今日から突然歳を取らなくなったらどうする?」

「それって、俺だけ?俺だけだったら絶対いらない」

「じゃあ、みんなも」

「それもなー」

「ね、じゃあさ、神様の罰でわたしが永遠に生きることになってしまいました」

「うん」

「ひろ君つきあってくれる?」


 はははと笑った。


「つきあってくれる?」

「しょうがないな」


 永遠なんて、本当はいらない。限りがあるから、命は美しい。

 でも、限りのある中で必死に生きようとした時に、失うものもある。

 わたしらしさを失うか?そして、この毎日を手に入れる?

 あなたと一緒に居続ける未来。


本文より抜粋