私は、旅行鞄を手に意気揚々と家を出る。人生の門出に相応しい、素晴らしく晴れ渡った日の事だった。そうしてあの人の〝元〟妻になった私は、あの人を観察し始めたのだった。
(C)上條 一音
2022/07~2022/07